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111話 幼児化した呪いを解く!

last update publish date: 2026-09-29 11:20:10

  ※

「──オリヴィア様、ただいま帰りました!」

 元気な声と共にアンが部屋に入ってくる。そして、部屋の中の惨状を見て目を丸くした。床に大量の本が散らばっていて、足の踏み場がない。

 散らばった本の中、床に座り込んだオリヴィアに不安そうに近付くと、突然立ち上がってクルリと振り向いた彼女の瞳は決意に満ちていてアンは面食らってしまう。

「決めたわ」

「離婚ですか!?」

 嬉しそうなアンをジトリと睨んでからオリヴィアは咳払いをした。

「幼児化した呪いを解いてもらう! まずはお家を出て行きましょう」

「出て行くのはやめましょうよ」

「えいえいおー!」と拳を振り上げていたら、アンから反対の声が上がってオリヴィアはよろけた。イアンと離婚して欲しいと願っているアンが、家を出て行く事を反対するとは思ってもいなくて目を剥いて驚いてしまう。

「邸と使用人達は慰謝料として残してもらいましょうよ。皆さん、素晴らしい人達ですし。オリヴィア様はここで平和
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  • 愛する妻が置き手紙一つ置いて家出をしました。~初恋を拗らせた旦那様は妻を取り戻したい~   111話 幼児化した呪いを解く!

     ※「──オリヴィア様、ただいま帰りました!」 元気な声と共にアンが部屋に入ってくる。そして、部屋の中の惨状を見て目を丸くした。床に大量の本が散らばっていて、足の踏み場がない。 散らばった本の中、床に座り込んだオリヴィアに不安そうに近付くと、突然立ち上がってクルリと振り向いた彼女の瞳は決意に満ちていてアンは面食らってしまう。「決めたわ」「離婚ですか!?」 嬉しそうなアンをジトリと睨んでからオリヴィアは咳払いをした。「幼児化した呪いを解いてもらう! まずはお家を出て行きましょう」「出て行くのはやめましょうよ」「えいえいおー!」と拳を振り上げていたら、アンから反対の声が上がってオリヴィアはよろけた。イアンと離婚して欲しいと願っているアンが、家を出て行く事を反対するとは思ってもいなくて目を剥いて驚いてしまう。「邸と使用人達は慰謝料として残してもらいましょうよ。皆さん、素晴らしい人達ですし。オリヴィア様はここで平和に過ごすのが一番です。お嬢様が出て行く必要ありません」「アンはターニャが苦手じゃなかったの?」 むしろ、嫌っていると思っていた。あんなに毎日叱られているのだ……と言ってもアンが言う通りにしないからである。「メイド長は口うるさい方ですが、正当な理由なく叱る方ではありません。それに必ず後でちゃんとフォローして下さるんです。不慣れな私にしっかりメイドの仕事を教えて下さったし、元騎士だからと言って贔屓もされませんでした。それから他の使用人達は気さくで良い人たちです。初見で怖がられる私ですが、みんな外見ではなく中身を見てくれます。みんなが常にオリヴィア様の為に動いてくれます。そんな彼らから離れるのは得策だと思えません」「アンはグゥイン公爵家の邸は居心地良い?」「あの男は嫌いですが、ここの人達は嫌いじゃありませんので」 きっぱりと言い切ったアンを見て、オリヴィアは口元に笑みを浮かべた。「アンも、ここを自分の家だと思ってくれていたのね……」 じんと熱

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    『笑うと笑窪が出来るのよ。オリヴィアと同じ場所にね』『いつも花の香がするヒトだったの』 父を語る母の表情は、恋する乙女そのものだった。私がイアンを想う表情と同じで。 『──どうして、おとうさまはあいにこないの? さびしくないの?』 寂しそうに微笑んだ表情は見逃してしまうほど一瞬のものだった。『貴女を生んで良かった。オリヴィアを通して愛する人に会えるもの……だから寂しくないわ』 温かい目で慈しみに溢れ、私の額にキスを落とす。唇は熱く、愛されている事が唇から全身に伝わる。『愛してるわ』 その言葉は、私を通して正体不明の父親に伝えていたのね──……。「必死になって隠した母親の秘密を貴女はみんなにバレて良いというの?」(そんなわけないじゃない)「親不孝ね」「バレていい、なんて言ってないわ」  ──私の事はバレたって良い。でも、お母様は違う。 身体を張って私を守り、秘密を守ったのに──お母様の想いを踏み躙るわけにはいかない。(もし、叔母様が知ったら) 叔母様に会うとお母様との幼い頃の思い出を語ってくれる。その碧い瞳を見ているとお母様と同じ顔をしているから、余計お母様を思い出してしまって思わず涙ぐむ、それを見て「困った子ね」と微笑んで涙を拭ってくれるの。それから私の頭を撫でてくれる。最後に私の額にキスをしてくれる──お母様からされたように。(叔父様にも知られる訳にはいかない) 私がイアンの元でちゃんと過ごせているか心配して頻繁に会いに来てくれるしお茶会にも呼んでくれて。会う度にお母様が幼い頃の話をしてくれる。叔母様とは違う視点で語るものだから、同じ話なのに結末が違っていて面白い。別れの時に、額にキスをしてくれる──お母様からされたように。 (そして……顔も名前も知らないお父様にも知られてはいけない──この三人に秘密を知られたくなかっただろうから) 「イアンとア

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    「スェミス大国を滅ぼすの」「──はぁ?」 あまりにも突拍子過ぎて間抜けな声が出てしまう。裸でふんぞり返るミシェルが憐れに見えてきた。「お母様を殺した事は恨んではいないわ。でも私の心臓に剣を刺したグゥインを私は一生許さない」「でも、貴女は生きているわ」「身代わりを立てたの。首を刎ねられる寸前にね。でも刺されはしたから完治するまでだいぶ時間がかかったわ」 その身代わりが誰かは恐らく彼女の周りに居たとりまきの一人だろう。私が彼女に痛めつけられている姿をただ傍観していた人たちだから可哀想だという感情は湧かなかったが。「私がこの国を乗っ取る為にまず邪魔なのはグゥインよ。それ以外はどうにかなる」「その自信はどこから来るの? イアンだけがスェミスを防衛している訳じゃないのよ」「私には協力者がいるの」「──協力者?」(ミシェルに協力者──? 他にも生き残りが居るの?) 旧帝国の皇族と皇帝派もろとも処刑され生き残りはいないと聞いていたのに。(イアンに言わなきゃ) 服をアンから用意して貰ったら、すぐに出掛けよう。アンが説明すればこの姿でも問題ないだろうし。 そう考えあぐねていると、頭上からミシェルに話しかけられた。「まぁ良いわ。グゥインを殺せなかったけど、呪いが失敗した訳じゃないから。呪いが失敗すれば術者に返ってくる。でも私には返ってきていない。だから呪い自体は発動している筈なのよ。なのに、あの男は死んでいない……何かがおかしいわ。今後どう作用するかは私にも分からない。お姉様と顔を合わせた時に何か起きるかもしれないわね」 自分の考えが読まれて分かり易く表情を崩してしまう。その様子にミシェルはニタリと笑った。「赤髪を使って伝えてもらうのも無駄よ。余計な事はしない事ね。もし、計画が漏れるような事があれば、あんたの秘密をバラすから」 幽体姿のミシェルは水晶玉を取り出した。彼女がブツブツと呪文を唱えると、パァッと水晶玉が光に包まれる。それから玉の中が揺らぎ、人影の

  • 愛する妻が置き手紙一つ置いて家出をしました。~初恋を拗らせた旦那様は妻を取り戻したい~   106話 イアンにかけられた呪い

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